新型コロナ緊急ブログ①アパレル・ファッションビジネスの経営者が今やるべきこと
新型コロナウィルスにおけるアパレル業界への影響とは?
皆さまご存知の通り、新型コロナウィルスの蔓延に伴う自粛と消費不振。
また国から発令された緊急事態宣言は、アパレル業界に関わらず日本経済に甚大な影響を及ぼしております。
当社もコンサルティングとしての訪問は休止し、現在、電話、ZOOM会議での相談対応に専念しております。日々、経営者、現場のスタッフからの悲痛の声とご相談を頂き、ご対応に専念しているところであります。
アパレル業界へのコロナの影響
アパレル産業やファッション業界においても、地域差、業態により影響の度合いは様々ではありますが、小売業では、百貨店、SC(ショッピングセンター)は多くの地域で臨時休業となり、多くのアパレルテナントが休業を余儀なくされています。アパレルメーカーでも入荷のキャンセルが相次ぎ、2020AWの展示会が開催できず翌シーズンが読めない状況であります。工場(縫製・ニット)でもこれら小売り、メーカーの影響を受け6月からの受注が全くないという声も聞くとことであります。アパレル・ファッションビジネス業界における川上~川下まで深刻な影響を受けているところであります。このあたりは日々現場にいる皆さまの苦痛と危機感を共有しているところであります。
アパレル業界で生き残るために今やるべき2つのこと
こうした中、様々なご相談を頂くところでありますが、全てのご相談先にまずご説明しているのは次の2つであります。
今はこの2つを徹底して生き残ることに全精力を注いで頂きたく考えております。
以下、アパレル・ファッションビジネスの経営者が、今やるべき2つのことについてご説明いたします。
1)固定的な支出を抑える
「入るを量りて出ずるを制す」ということわざがあります。
アパレル経営で言えば「入り=売上」であります。しかし今は「入りを量る」ことが出来ません。
「入りを量る」施策、すなわち、ブランディング、MD計画、VMD、販売計画、営業、接客などの施策は全く意味をなしません。
無理にここを進めようとするとお客様からも「なぜこんな時に」ということになり冷たい視線で見られてしまいます。
また働くスタッフに対しても感染の不安を抱える中で、精神論で無理に尻を叩いても逆効果であります。これは皆さまが日々現場で実感しているところかと存じます。
こうした状況ですので「入り=売上」の施策ではなく、「出ずるを制す=支出を抑える」施策をすすめていくしかありません。
つまり「攻め」ではなく、徹底した「守り」に徹するということであります。
2~3ヶ月は籠城戦を行うというイメージで良いかと考えます。
以下、その具体的な方法でありますが、ここは各社の状況により異なります。
固定的な支出とは、損益計算書に乗る販売管理費の他、銀行への元本返済も含まれます。
費用項目として大きなものからご説明いたします。
人件費を抑える
国の雇用調整助成金などを活用し、人件費の支出削減に努めてください。
最大9割の助成金の活用が可能です。
今は人件費をかけても「入り=売上」には直結しませんので支出の削減に努めてください。
稼働している店舗もあるかと思いますが、売上高が50%となっているのであれば、配置するスタッフも普段の50%で良いでしょう。
在庫を消化したいという気持ちもわかりますが、人件費をかけても売上に繋がりませんので今は必要最低限の人員で回していくべきだと考えます。
参考サイト:厚生労働省 雇用調整助成金
地代家賃を抑える
デベロッパー、オーナーと、減額、猶予交渉を行ってください。
個別に見ていきますと、応じてくれるケースも多々あります。
相手次第ではありますが、行う価値は十分にあるでしょう。
租税関係
こちらは国から一部猶予などの制度が公表されています。
後ほど添付する経済産業省の支援策や、下記リンクをご覧ください。
法人税などは場合によっては還付を受けられる可能性があります。
参考サイト:国税庁 納税猶予
社会保険
こちらも国から一部猶予などの制度が公表されています。
特に従業員が多い会社は社会保険の納付が資金繰りを悪化させる場合も多々あります。
保険事務所の方でも当社が知る限りでは柔軟に対応して頂いています。是非相談してみてください。
銀行返済
こうした緊急事態ですので、基本元本返済は基本全てストップするべきでしょう。
条件変更をすると新規の借入が出来ないと考える方もいらっしゃるかと思いますが大丈夫です。
既存の借入金の返済をストップして、かつ新規の運転資金を実質無利子で調達することも可能です。
このあたりは個別の金融取引状況によりやり方がございますので当社の無料相談会(電話・メール・ZOOM会議)にてご相談に応じます。
参考サイト:中小企業庁 中小企業再生支援協議会 借入金リスケジュール
以上、これらの施策により固定的な支出を出来るだけ軽くしていくことが今重要だと考えます。
各社のおかれている状況、相手先によっては出来る部分、出来ない部分はあるかと思いますが一つ一つの効果は少なくても積み上げれば毎月の固定的な支出を抑えられます。
ご検討頂ければと思います。
2)資金を調達する
上記の1)で「出ずるを制す=固定的な支出を抑える」施策を行ったとしても、現在のように売上高が昨対50%前後といった状況では「入り<出る」となることは必至です。
そのため「売上」以外で「入り」を確保しなくてはなりません。方法としては、借入金と、補助金の2つがあります。
以下、具体的な説明となります。
金融機関からの借入
現在、国から日本政策金融公庫、保証協会、商工中金からの緊急融資制度の窓口が設置されています。
どの制度も、当面は実質無利子で審査基準のハードルも低くなっています。
現在のところ聞く限りでは、断られたということはありません。
必要調達額も出来るだけ今後の資金繰りの見込みを手堅く見込み、出来るだけ多く調達をおこなうべきだと考えます。
1つの制度だけではなく、複数の制度を併用することも念頭に入れていくべきでしょう。
保険などの積立金の活用
会社で積み立てしている終身保険などでは、解約返戻金を上限とした「契約者貸付」が可能な場合がございます。
上記の金融機関からの借入は2~3週間の時間がかかることが予想されます。
それに対して、「契約者貸付」は審査がなくスピーディーです。金融機関からの借り入れまでの「つなぎ融資」としての活用もご検討頂ければと考えます。
各種補助金
国からの補助金(給付金、協力金)を活用できる場合があります。
国の支援策は、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省など所管官庁が独自に行っています。
また地方自治体でも県や、市町村により個別に行っています。
またその地域により支援内容も異なります。
このあたりは自ら情報を取りにいかないと活用できるものも活用できません。
積極的な情報収集により活用できる可能性のあるものは是非ご活用ください。
以上、これら以外でも家賃補助などの支援策が今後成立する可能性がございます。信頼できる情報源をもとに情報収集を行って頂ければと思います。
参考までに経済産業省の支援施策をまとめたサイト、国が開設している中小企業支援のポータブルサイト(ミラサポPlus)、その他、をご紹介いたします。
経済産業省:新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
アパレル業界の経営者が今やるべきこと 【まとめ】
以上、アパレル・ファッションビジネス業界の経営者が今やるべき2つのことをご説明いたしました。
会社経営において、単月赤字が何か月続こうが資金が回っている限りは倒産することはありません。
病院の治療に例えれば、出血を止め、ガンガン輸血をしていれば出血多量で亡くなることはありません。
今はとにかく資金繰り重視、CF(キャッシュフロー)の確保維持を最優先に徹底した防戦体制をひくべきかと考えております。また資金繰りが窮迫していきますと、冷静な経営判断も出来なくなっていきます。
このあたりは次回のブログにてご説明いたします。
最後に、今は何としても生き残ってください。そのためには資金繰り最優先です。当社に出来ることがあればご協力させて頂ければと思います。
次回、ご質問、ご相談が多いものとして、「新型コロナ終息後におけるアパレル経営」について近日中に公開予定であります。
当社はアパレル経営を強くすることで、「ファッションが楽しい社会を創る」ことを事業目的としています。今回のブログが貴社のアパレル・ファッションビジネス経営にお役にたてれば光栄です。