今回は当社の社名である「事業リノベーション®」、英訳ですと「ビジネスリノベーション」についてご説明していきたいと思います。
ビジネスリノベーション
昨今、「ビジネスリノベーション」という言葉も主流となってまいりました。
「ビジネスリノベーション」をテーマにした書籍も販売されています。
それでは「ビジネスリノベーション」とはどのような意味なのでしょうか。
残念ながら辞典やWikipediaでもまだ定義はされていないようです。
リノベーションとは
しかしながら「リノベーション」という用語の定義はございます。
Wikipediaでは
「リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えることである。
マンションの一部屋から一棟、また、木造・RC造・鉄骨造等、特に構造に関係なく行うことが可能」
と定義されています。
また「一般社団法人リノベーション協議会」という全国規模の団体もございます。
その一般社団法人リノベーション協議会様では
「リノベーションとは、中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと。例えば、水・電気・ガスなどのライフラインや構造躯体の性能を必要に応じて更新・改修したり、ライフスタイルに合わせて間取りや内外装を刷新することで、快適な暮らしを実現する現代的な住まいに再生していきます」
と定義されています。
このように「リノベーション」とはもともとは不動産、住宅業界で使われる用語であります。
また「リノベーション」に近い用語として「リフォーム」がありますが意味は大きく異なります。
その違いについて一般社団法人リノベーション協議会様では次のように説明しています。
(リフォーム)
原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処
(リノベーション)
機能、価値の再生のための改修
その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修
このように見ると「リフォーム」と「リノベーション」の違いも見えてきます。
これは当社の考え方ですが、
「リフォーム」は「悪いところを直し元に戻す(マイナスをゼロに)」。
「リノベーション」は「悪いところを直しつつ新たな要素を加え価値を上げる(マイナスをプラスに)」というような印象を持ちます。
ビジネスリノベーションとは
それでは「ビジネスリノベーション」をどう理解すれば良いでしょうか。
先ほどのWikipediaの「リノベーション」の定義における「建物」という主語を「ビジネス」に置き換え説明すると次のようになります。
「(ビジネス)リノベーションとは、既存のビジネスに大規模な変革を行い、ビジネスモデルやビジネスプロセスを変更して事業価値を向上させたり、付加価値を高めることである。メーカーから工場、また商社、小売業等、特に業種、業態に関係なく行うことが可能」
このように説明すれば定義できるのだと考えます。
当社の考える「ビジネスリノベーション」も概ね同義であります。
「ビジネスリノベーション」と「事業再生」の違い
「ビジネスリノベーション」に似た用語に、「事業再生」「企業再生」といった用語もあります。
また、「事業再生」を行う職業はターンアラウンドマネージャー(再生請負人)と呼ぶこともあります。
一般的には「事業再生」は、経営が悪化した会社の事業を立て直す活動のことで、債務整理や民事再生などの法的手続を伴う場合もあります。
それでは、「事業再生」と「ビジネスリノベーション」は何が違うのでしょうか。
これは先ほどの「リノベーション」「リフォーム」の関係に例えることが出来ると考えます。
一般社団法人リノベーション協議会様の定義をビジネス的に修正すると次のようになります。
(リフォーム=事業再生)
原状回復のための事業の修繕、事業の不具合箇所への部分的な対処
(リノベーション=ビジネスリノベーション)
事業のビジネスモデル、事業価値の向上のための改修
現在の市場に対処した、包括的なビジネスモデルの改修
やはり、しっくりとくる定義だと考えます。
ビジネスの場合でも、
「事業再生」は「悪いところを直し元に戻す(マイナスをゼロに)」。
「ビジネスリノベーション」は「悪いところを直しつつ新たな要素を加え価値を上げる(マイナスをプラスに)」というように解釈できるわけであります。
現に、「事業再生」の手法としては、コストカットや不採算事業からの撤退、債務整理、民事再生などの法的手続が含まれるためどうしてもこうした解釈、印象となってしまうのだと考えます。
実際に「事業再生」を行っているターンアラウンドマネージャー(再生請負人)からすれば、自分がやっているのは「ビジネスリノベーション」だという方もいらっしゃるかと思いますが、印象としてはこのように見えてしまうということを述べているわけであります。
当社ではこうした「事業再生」活動を否定するわけではありません。
ただ、こうした印象があるのは否定できない部分があるのだと考えています。
当社の社名の由来
当社の社名は、こうした「事業再生」の印象に対比させる概念として「事業リノベーション」という名称にし、商標登録も行っています。
「事業=ビジネス」ですので「ビジネスリノベーション」と同義であります。
コストカットや債務整理が中心の従来型の「事業再生」の印象に対して、スタート地点はどこであれ、経営改革を行い、事業価値を上げていくものとして「事業リノベーション」と命名しているわけであります。
この社名の由来については公式サイトでもご説明していますので、こちらもご覧くださいませ。
ビジネスリノベーションの前に必要なこと
さて、これまで「ビジネスリノベーション」について解説してきました。
概念としては非常に素晴らしいものでございますが、一つ注意しなくてはならない点があります。
まずそこを説明する前に、不動産業界における「リノベーション」にとって重要なことをご説明いたします。
先ほどの一般社団法人リノベーション協議会様は、「優良なリノベーション」について、次のように定義しております。
「検査」→「工事」→「報告(開示)」→「保証」→「住宅履歴」の「統一規格」に則り、品質基準に適合したリノベーション。
工事以降が実際の「リノベーション」となるわけですが、いきなり「リノベーション」を行っていません。
最初に「検査」があるわけですが、ここが非常に重要なわけであります。
例えば、マンションの場合、大きなリビングが欲しいからといって、いきなり隣の和室を壊してリビングと繋げたらどうなるでしょうか。
マンションの共有部分の柱を壊してしまうかもしれません。
戸建リノベーションの場合も、間取り変更によって耐震構造上重要な柱や壁を壊してしまうかもしれません。
また、間違った方向にリノベーションしてしまう危険性もあります。
昨今、戸建て物件では、吹き抜け天井やリビング階段が人気であります。
解放的なリビングの写真を見て皆さん憧れるわけです。
しかし、吹き抜け天井やリビング階段にもデメリットがあります。
吹き抜け天井は暖房効率が低いですし、リビング階段はプライバシーが守れません。
一見素敵に見えても、自分達の住んでいる地域や家族構成には合わない場合もあるわけです。
不動産業界においても、「リノベーション」という言葉の印象と、完成後の間取りのイメージにつられ、いきなりリノベーション工事をしてしまうと大きな問題が生じることがあります。事実こうした事例は多いと聞いています。
そのため、まずは「検査」を行わなければならないわけであります。
建築図面や建築確認済み書の確認、またそれらが無い場合は、柱の構造や、壁の位置、共有部分の確認などを改めて行わなければなりません。また居住する地域や家族構成からも間取りや設備を考えていかなくてはなりません。
そうすることで、リノベーションにおける失敗を事前に防止できるわけであります。
そのため、一般社団法人リノベーション協議会様では、「優良なリノベーション」の手順として、最初に「検査」を上げているのだと考えています。
そして、これは「ビジネスリノベーション」でも言えることだと考えます。
それは、名称や概念の印象にのせられて、いきなり「ビジネスリノベーション」を行わないということです。
ビジネスの場合も同じく、利益は出ていなくても重要な部署や部門もあります。
自分達では重要と考えていなくても、お客様から指示されている商品やサービスがある場合もございます。
「ビジネスリノベーション」の名のもと、そうしたものまで取り除いてしまうかもしれません。
先ほどのマンションや、戸建てのリノベーションの間取り変更の失敗と同じことが起こる可能性があるわけです。
また今流行りのビジネスモデルや業態に「ビジネスリノベーション」してしまう可能性もあります。
そうするとレッドオーシャンに突入することになります。
昨今のアパレル業界で言えば、「EC事業への進出」「AIを活用した需要予測」などです。
これらについて必ずしも否定するものではありませんが、その会社に合ったやり方かどうかは慎重に検証する必要があると考えます。
今流行りの言葉に引きずられると、先ほどの吹き抜け天井、リビング階段のように間違った方向にリノベーションしてしまう可能性があるわけです。
こうした間違った方向に環境適応、リノベーションしてしまう可能性については、こちらのブログでも詳しく解説していますのでご興味があればご確認頂ければと思います。
また昨今では、国の政策としても補助金制度を使い中小企業の「ビジネスリノベーション」を支援しています。
例えば「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」などがあります。
補助金が出るからといって安易に飛びついてしまうと、間違った方向に「ビジネスリノベーション」してしまう可能性があります。
当社ではこうした補助金を否定するものではありませんし、実際にご支援も行っております。しかし、補助金獲得自体が目的となってしまう事例もありますのでご注意が必要です。
「ビジネスリノベーション」の前にやるべきは「事業デューデリジェンス(事業DD)」
それでは「ビジネスリノベーション」を行う前に必要な「検査」とはビジネスの場合どのようなものでしょうか。
それは「事業デューデリジェンス」「ビジネスデューデリジェンス」(訳して事業DD)です。
これは、経営戦略、ビジネスモデル、組織、財務、マーケティング、実務のオペレーションがどのようになっていて、どこに強みや課題があるのかをレポートする調査報告書です。
そのため、企業やビジネスにおける、健康診断書とも言えます。
多くの場合、M&Aやファンド投資の場で行われますが、当社では「ビジネスリノベーション」の前の「検査」として推奨しております。
つまり、どのように「ビジネスリノベーション」しようかを考える前に「いまどうなっているのか」を客観的に評価していくものです。
こうした説明をしますと、多くの経営者は「自分のことは自分が一番良く解っている」といわれるかもしれません。
しかしこれまで多くの事業デューデリジェンスを行ってきた立場からすると、「自分のことは一番解りにくい」のです。
実際に、事業デューデリジェンス前と後では、自分が考えていた自分の会社やビジネスの見方が全く違ったと言われる経営者も少なくありません。
自分の会社やビジネスについて、解っていない中で「ビジネスリノベーション」を進めるのは非常にリスクのあることだと言えるでしょう。
不動産のリノベーションで言えば、間取り図や建築設計図が無い中で、いきなりリノベーションを行うのと同じであります。
それ故、「ビジネスリノベーション」の前には、不動産のリノベーションと同じく、まずは
「検査=事業デューデリジェンス(事業DD)」が必要となるわけです。
時代が変化している中、「ビジネスリノベーション」をお考えの経営者も多いかと思います。
しかし、まずは「検査」を行い「己を知る」というのが事業やビジネスを成長させる一番の早道ではないかと考えております。
「事業デューデリジェンス(事業DD)」についてはこちらのブログで詳細をご説明しておりますので、ご興味がございましたらご覧くださいませ。
https://www.biz-renova.com/business_dd/
また、中小企業様向けに比較的簡単でスピーディで料金を抑えた「簡易デューデリジェンス」も行っております。
当社はアパレル・ファッションビジネス経営を強くすることで、「ファッションが楽しい社会を創る」ことをコンサルティング事業の目的としています。
今回のブログが貴社のアパレル・ファッションビジネス経営にお役にたてれば光栄です。