リノベーション

アパレル業界がリノベーションM&Aの投資適格な理由

前回、事業再生投資としてのアパレル・リノベーションM&Aとは にて

アパレル・リノベーションM&Aのポイントとして、「安く買って、高く売れること」が重要であるとご説明しました。

また「安く買って」において、M&A市場において買い手市場であることが重要であると価格決定のプロセスと合わせてご説明させていただきました。

現在のアパレル業界

アパレルショップ

その点、現在のアパレル業界は不況業種、斜陽産業と位置付けられています。それは昨今のメディアの報道や書籍からも自明であると言えるでしょう。

一般的にはこのような捉え方をしているアパレル業界でありますが、不況の内容が他の実質的な不況業種、斜陽産業とは本質的に異なるところに特徴があります。

この点、詳しくはこの2つのブログにてご説明しております。

「不況?だからこそ成長のチャンスがある。アパレル 経営の仕組み作り」

2019年度 アパレル・ファッションビジネス業界は 「不況?」 だったのか

こちらのブログを読んで頂ければ、市場的には本来不況でないものの、固有の業界構造、個別企業の経営において自滅している、業種であるという点が言えるかと思います。

つまり、一般の投資家からの人気が高くなく、買い手市場であるため、アパレル・リノベーションM&Aの重要ポイントである「安く買うこと」を満たしやすいわけであります。

アパレル・リノベーションM&Aを成功させるための3つの要素

分析

次に、アパレル・リノベーションM&Aのポイントとして、「安く買って、高く売れること」の後半部分である、「高く売れること」を満たせることが重要であります。

この点においてご説明をいたします。

実績と経験則の中でしかお答えできませんが投資銀行、事業再生ファンド、そしてコンサルタントとして事業再生の世界で20年以上実務をこなし、100件以上の事業再生案件を手掛けてきた立場から言わせて頂きますと、次の3つの要素を満たしていけば、過去の実績から見ると80%の確率で「高く売れること」は実現できると判断しています。

この80%の成功確率が高いか低いかという点についても考えてみましょう。

天気予報での80%で言えば何らかの想定外の要因がなければほぼ当たるでしょうという確率感ではないでしょうか。

当社にとってのこの数値感も同様のもので想定外の事象、例えば重要な人材の想定外の大量退社、リーマンショック、東日本大震災のような想定外の突発的な外部環境の変化がなければほぼいけるといった感覚でいます。

当然投資であるわけですから残る20%のリスクが伴うのはやむを得ないものと考えています。

それでは「高く売れること」に必要な3つの要素とはどのようなものでしょうか。

  1. アパレルM&A選定の目利き力
  2. 事業再生(リノベーション)のノウハウ
  3. アパレル業種特有の実務改善力

この三つの要素について、概略を説明させて頂きます。

1「アパレルM&A案件選定の目利き力」

ビジネスDD

どのような再生会社であれば再生可能か投資段階で見極める目利き力のことを言います。

例えば旅館、ホテル業界への事業再生投資の場合、この観光名所は地域自体が地盤沈下しているから難しいとか、この地域は同業の競合が少ないからいけるといった業界構造を知る中での目利き力のことを言います。

こうした外部環境以外でも、こうした財務の動きをしている場合はNGだとか、こういう組織状況、組織病におかされている場合はNGといった目利き力のことを言います。

別の言い方をしますと、「投資してはいけない先を見極める目利き力」と言うこともできるでしょう。

ここを間違えると、どんなに2)と3)の要素があったとしてもアパレル・リノベーションM&Aは成功しえません。

2「事業再生(リノベーション)のノウハウ」

事業再生(リノベーション)の正しい手法とプロセスを理解して実行できるというものです。

これは特定業種に限られるものではなく全業種の事業再生(リノベーション)で言える事業再生のセロリーのようなものです。

例えば経営戦略の手法一つとっても教科書的な経営戦略の手法が再生会社では逆効果となってしまう場合もあります。

なぜなら大学院や学校で教える経営学は、大学教授などが成長会社、優良会社に当てはまる有効な戦略を理論化したもので、再生会社の現状を踏まえた理論ではないからです。

成長会社には成長会社にあった経営戦略、再生会社には再生会社に合わせた経営戦略が必要となります。

医療に例えるなら、患者には患者の病状に合わせた治療と処方を施す必要があるということなのでしょう。

3「アパレル業界特有の実務改善力」

コンサルティング

「アパレル業種特有の実務改善力」は、投資する業界の実務的なオペレーションレベルでの改善能力のことを言います。

旅館、ホテルであれば、料理の出し方、サービスプランの企画方法、WEBサイトでの販売促進方法など当該業種の実務的な改善力のことです。

これは業種ごとに当然異なるのは理解しやすいでしょう。

当社では、これらの3つの要素があれば、事業再生投資は約80%の確率で成功できるものと考えています。

特に要素の1、3はアパレル・リノベーションM&Aを行う投資家企業が同業種の場合には保有している場合もあります。

星野リゾートなどは長年の旅館、ホテル運営事業において1、)ノウハウを蓄積していたでしょうし、実際の旅館、ホテルの再生事業において2のノウハウも蓄積してきたのでしょう。

それ故、旅館、ホテルの事業再生投資を行い、高い投資効果を得られているのでしょう。

また再生ファンドの場合は、1、2のノウハウは保有していても、3のノウハウを保有していないことが殆どです。

そのため三の要素を持つ業種専門のコンサルタントを活用しているケースも多々見られます。

アパレル経営

そしてこの3つの成功要素は、先ほどの不動産リノベーション投資でも同じと言えます。

1は、リノベーションして価値の上がる物件を選定する目利き力。この地域の地区のこの物件はNG、ここならOKといった長年培ったノウハウを保有しています。

2は、リノベーション自体の設計ノウハウ。3DKのマンションであれば、1LDKにした方が高く売れるとか、キッチンは対面式が最低条件といった設計力です。

3は、その設計を具体的に内装に落とし込む内装工事が出来るかどうか、つまりこの場合は職人的な技術力ということになります。

不動産リノベーション投資においてもやはり成功させる要素、ポイントはアパレル・リノベーションM&Aと同じなのです。

リノベーションM&Aスキーム考案の経緯

さて、最後に当社がアパレル・リノベーションM&Aスキームを考案するに至った経緯についてご説明いたします。

当社は、このアパレル・リノベーションM&Aによる事業再生投資を行う、中小企業の投資家様、事業再生ファンド様を対象に、投資顧問的な立場で事業再生投資をご支援させて頂いています。

また投資家様が実際にリノベーションM&Aを行った段階で、投資家様と事業再生(リノベーション)の手法を共有し、実際の再生企業のご支援のお手伝いをさせて頂いているコンサルティング会社です。

この事業を行うきっかけとなったのは当社代表である有馬の職歴にあります。

代表有馬は金融・事業再生コンサル場において事業再生に関わってきました。

その後独立し、LLPアライアンスコンサルティングというコンサルティングファームを設立し、コンサルタントという立場からアパレル業界を含めた事業再生(リノベーション)を支援しています。

日本における事業再生の歴史自体は約20年と決して長いものではありません。

その歴史の中で、以前と比較し、事業再生スキーム(民事再生、第二会社方式、DES等)自体は、飛躍的に充実してきました。

しかしながらこれらの手法は誰が得をして誰が損をするかを調整するゼロサム理論の手法であるという事。

つまり、如何に債務を圧縮するかという手法であり、事業再生が実現しても社会全体としては何も価値を生んでいないという疑問がありました。

そうした経緯から有馬は、事業再生を従来とは違う仕組みの中で動かす必要があると考えました。

こうした中で生まれたのが「アパレル・リノベーションM&A」スキームの構想でした。

そして、有馬がこれまで金融の世界で行ってきた事業再生投資ビジネスをファンドや一部の大手だけでなく、中小企業投資家が実施できればこの経済も大きく活性化できるのではないかと考えるようになりました。

何故ならアパレル・リノベーションM&Aスキームの中で、買い手となる投資家企業はそれにより事業の成長・投資による収益を得ることが可能で、買われる側の企業も事業再生の可能性が格段に増すからです。

またこうした投資を通じて、地域の雇用、地域経済を支えることも可能です。まさに「買い手、売り手、地域」の「三方良し」のメリットが実現できるからです。

しかし実際の道のりは決して楽なものではありませんでした。なぜならばアパレル・リノベーションM&Aに必要となる3つの要素自体が非常に体系化しにくいものだったからです。

例えば要素の一つである、「アパレルM&A案件選定の目利き力」こちらの要素を満たすためには、実際の現場レベルの事業再生、実務面の改善ノウハウがなければ、「投資して良いか」どうかの判断基準が出来ません。

対象会社の組織状況、ヒトの状況も把握していなければ判断出来ませんし、オペレーションとしての実務状況と改善可能性を見る必要があります。そしてそのためには自分自身がオペレーション実務に詳しくなければなりません。

銀行審査マンレベルでの「目利き力」、単に数値を分析するだけではこの要素を満たすことは出来ないのです。

こうした習得、体系化しにくいノウハウであるため、事業再生の世界で「投資」という視点で「事業再生」を捉えてコンサルティングをしている方は当社の知る限りいません。

戦略

次に「事業再生(リノベーション)のノウハウ」ですがこちらも体系化するのに時間を要することとなりました。

事業再生自体は、銀行の支援担当者、再生ファンドの担当として長らく経験してきたところですが、事業再生自体の歴史が浅くその方法論も市場では整理できていないというのが現状でした。

事業再生の書物も数多く出版されていますが、その多くが借入金の処理における法的整理や、金融調整に重みが置かれたもので、売上をどのように増やすか、利益が出る構造にどうしたら出来るか、組織をどのように構築して動かすかといった事業再生の本質的部分についての視点が欠けているというのが現実的なところです。

そのため、自ら構築するしかありませんでした。事業再生の世界では、多くの事業再生コンサルタントがいらっしゃいますが、多くの場合、借入金のリスケジュールや、金融機関との調整が中心であり、本業の再生においても経費削減やリストラクチャリングが中心であるためアパレル・リノベーションM&Aの要素の一つを満たすのは難しいでしょう。

またアパレル事業における「アパレル業種特有の実務改善力」においても実際の企業支援の中で体系化するのに5年の歳月を要しました。

なぜならアパレル業界は「感性の世界」と呼ばれており実務やオペレーションが感覚的なところで動いており、デザイン、トレンドといった要素もあり実に見えにくい実務領域であるからです。

こちらに関しては実際の実務支援の中で何度も何度も仮説検証を繰り返し、実効性のある「アパレルFDCA経営」というコンサルティングメソッドを構築しました。

アパレル業界においても多くのコンサルタントがおりますが、その多くは、特定の業務領域における職人的、感覚的なコンサルティングを行うのみで、アパレル・リノベーションM&Aのスキームのなかで、経営視点で業務改善できる方は少ないというのが現状です。

業務提携

こうした経緯と、金融機関、再生ファンドでの実務経験を含めた約20年以上の事業再生経験と実績。

コンサルタントとしての実務支援の中で体系化、整理したものが「アパレル・リノベーションM&A」スキームです。そしてこのスキームは「事業再生」が「成長・投資」に直接的に繋がり価値を増幅していく投資スキームでもあります。

当社の事業目的は、アパレル・リノベーションM&Aを通じ、アパレル経営を強くしファッションが楽しい社会を創ることです。またそれにより、投資会社、再生会社、アパレル会社で働く従業員が幸せになれることを目指しております。

アパレル関連事業の更なるバリューアップの為に

現在当社では、毎月、無料の相談会を実施しております。

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